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研究内容

 食品分子機能学とは、健康の維持や病気の予防・改善に役立つ「食品の働き」を、体のなかの遺伝子やタンパク質の働きと関連づけて系統的、論理的に研究する新しい学問領域です。ヒトや実験動物の遺伝子情報を活用し、細胞内のみならず細胞間、臓器間など生体内情報伝達・制御機構に関わる「食品成分」の役割・機能を最新の実験技術を用いて「分子のレベル」で研究しています。そのような新しい研究方法を取り入れて、健康科学の視点から食品研究の発展に寄与するために次のようなテーマで研究を行っています。

肥満と生活習慣病発症の分子メカニズム

 多くの人間にとって人生最大の楽しみのひとつは、「食」であり、美味しいものを求め、腹を満たすことは人間の本能といえます。しかしここにジレンマが生じる訳です。脂肪組織の過剰蓄積状態である「肥満」の発生です。肥満は糖尿病や心疾患などの生活習慣病が発症するリスクを著しく高めます。最近の研究成果により生活習慣病の原因の多くは肥満から生じることがわかりました。私たちは、生活習慣病を引き起こす最も重要な原因である肥満について、特に「脂肪組織機能」に着目し、肥満によって生じる脂肪組織機能破綻と肥満に伴う生活習慣病発症の関連性のメカニズムを遺伝子レベルで研究しています。

エネルギー消費代謝を制御する褐色脂肪細胞の発生機構と生理的役割の解明

 褐色脂肪細胞(褐色脂肪)は、熱産生を専門に営むヒト体内で唯一の細胞であり、活発に脂肪を燃焼・消費します。本研究は、組織的に異なる複数の褐色脂肪の分化・増殖機構と生理的役割を解明するために、発生工学的手法、蛍光ならびに核磁気共鳴(MRI)イメージング法を駆使した動物個体レベルでの新しい検出系、評価系を開発するとともに、ヒト由来多能性幹細胞を活用して詳細な分子機構を解析することを目的としています。これによりヒトが生まれながらにして有する細胞の熱産生能力を活用した新しい肥満是正の解決策が見出せ、糖尿病やメタボリック症候群などの疾患の予防・改善に役立てることができると考えています。
Sientific Research (S)

生活習慣病を予防・改善する食品成分の探索と食品への応用研究

 食生活は、糖尿病や肥満などの生活習慣病と密接に関係し、それらの原因ともなる一方、予防にも役立ちます。食品の働き(機能)を上手く利用することが健康を考える上で大変重要となってきています。私たちは、生活習慣病をもたらす肥満や脂質代謝異常をコントロールする天然物素材を探し、食品の開発へ応用する研究を行っています。

生体炎症反応を防ぐ食品の開発

 生体の炎症反応は健康を維持する上で必須の生命活動です。しかし、食べ物などにより生体炎症反応が過剰に起こると動脈硬化やアレルギーが引き起こされ、身近な病気となります。私たちは実験動物や培養細胞などの手法を用いてそれらの発症原因やメカニズムの研究を行っています。さらに、それらの生体炎症を緩和する食品の開発をめざしています。

メタボロミクス(代謝物包括解析)の食品科学・代謝機能学への応用

 ゲノム科学の一分野であるメタボロミクス(「動的な代謝反応の量的な解析」と定義される)で開発された新たな代謝物の網羅的精密分析法を用いて、農水産物や食品に含まれる成分、またそれらの体内代謝(成分変換)、さらには病態発症と深く関連する糖・脂質代謝機能への影響を生体内成分反応の視点から網羅的に解析することにより世界に先駆け新しい食品科学研究を創りだす研究を行っています。この研究により、食品摂取と病態発症の関係についてこれまでに無い深い解析が可能となり、新しい病態改善予防、健康維持の方法が考案されることが期待されます。

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